リアル絵にオススメな紙はコレ!8種の紙の性質比較と選び方

この記事でわかること
この記事は、
✅自分に合った紙は、自分で選べる
ようになってもらおう
という目的で書かれています。
具体的には、記事を読むことで
☑鉛筆で紙に絵が描けるのはなぜか?
しくみの解説
☑用紙選びの3つのポイント
☑8種類の用紙比較
☑リアル絵にオススメな紙の紹介
☑オススメな理由
という項目について理解できます。
目次
✅紙はどうやってできてるのか?
✅「鉛筆で描く」とは「鉛筆の芯が削れて
紙にくっつく」ということ
■紙に鉛筆で描いたときに紙の上で
起こっていること
✅リアル絵制作は紙選びから始まっている
✅紙を選ぶときの3つのポイント
① 紙の網目の細かさ
② 鉛筆で塗ったときの色のつきやすさ
③ 紙の厚さ
■紙を選ぶときのポイント(まとめ)
✅リアル絵にオススメな紙はコレ!
8種の紙の性質比較
■コピー用紙
■コクヨ製ケント紙
■BBケント紙(生産終了)
■バロンケント紙
■KMKケント紙
■スケッチブック
■和紙(美濃和紙など。。。
■その他
■エスケント カラーケント紙
■エスケント ピュアケント製図用紙
✅さいごに(まとめ)
紙はどうやってできてるのか?
・紙をつくる工程は、
① 材料の植物繊維を水中に分散させる
② すく(薄く平らな紙状に敷く)
③ 脱水・乾燥させる
というようにして作ります。
・紙の拡大写真を見ると、繊維の表面に
枝みたいなものがたくさん出ていて
絡み合ってくっついています。
・繊維が絡み合ってできているので、
細かい凹凸ができて、これが
紙の表面の質感
につながります。
例えば、表面がツルツルなケント紙でも、
拡大するとこんなに凹凸してるんです。

・この紙の表面の質感が、鉛筆画を描くとき
大きく影響してくるわけです。
「鉛筆で描く」とは「鉛筆の芯が削れて紙にくっつく」ということ
・まずは、
紙に鉛筆で描いたときに紙の上では
何が起こっているのか?
これをイメージして欲しいので、すこし
お話しします。
■紙に鉛筆で描いたときに紙の上で起こっていること
・鉛筆は、紙に描いたときに、芯の黒鉛が削れ
て粉になって紙にのります。
・このとき、紙の上の黒鉛は
✅紙の繊維に絡まって定着した粉
✅紙の上でふわふわ浮いている粉
がある状態です。

・例えば、これをティッシュでこすると
ボカしたりできますよね?
そのとき、紙の上の黒鉛は
✅おしつけられ、よりしっかり紙に定着する
✅紙の網目の凹みにも入り込む
✅余分な粉はティッシュで拭き取られる
という状態になってるわけです。

リアル絵制作は紙選びから始まっている
・紙は、目が粗いと鉛筆で塗ったときに
凹んでいる部分が白く塗り残しになり、
真っ黒に塗れません。

・この紙の質感をどう活かすのかは
描きたい作品によって変わってきます。
✅目が粗い紙
…温かみのある絵が描ける
(風景画スケッチや淡い水彩画など)
✅目の細かい紙
…硬い感じの絵が描ける
(細部までリアルに描き込める)
・下の写真は全部おなじ鉛筆で塗ったものです。
用紙によってこんなにも違いが出ます。

紙を選ぶときの3つのポイント
・基本的に、僕が鉛筆画で紙を選ぶときに
気にしているのは、次の3つです。
① 紙の網目の細かさ
・写真みたいにリアルな絵を描くときは、
瞳や髪の毛など、黒が濃い部分の
発色がキレイ
ということが重要なので、なるべく
網目が細かい用紙を選ぶ方が良い
ということになります。

目の細かさ比較
② 鉛筆で塗ったときの色のつきやすさ
・鉛筆は、紙にこすりつけることで
芯が削れて黒鉛が紙にくっつきます。
この、
黒鉛が紙に定着しやすいかどうか
が紙選びの2つ目のポイントになります。
・紙がツルツル(目が細かい)なほど、
黒鉛が紙に定着しにくく、描くのが難しい
という性質があります。
■描くのが難しい理由
✅硬い鉛筆(2H,3Hなど色の薄い鉛筆)は
・筆圧が低い(鉛筆を寝かせて塗る)と
紙の上で芯がすべって色がつきにくい
・筆圧が高い(鉛筆を立てる)と紙を
凹ませて傷つける
ということがおこります。
⇒筆圧の加減が難しいわけです。
✅柔らかい鉛筆(4B~10Bなど色の濃い
鉛筆)は、
・削れた芯の粉が紙にくっつきにくい
※くっつかずに紙の上で芯の粉が
浮いてしまう
ということがおこります。
⇒濃く塗りたいときは、
①塗る
②ティッシュなどでボカす
※このとき、定着しなかった粉は
拭き取られる
という作業を繰り返して塗り重ねる
ことで、少しずつ濃くしていくこと
になります。
紙がツルツルなほど、塗り重ねが
必要な回数が増えるイメージです。

鉛筆の芯ののり方イメージ
③ 紙の厚さ
・紙はなるべく厚手のものが好ましいです。
■厚手の紙が好ましい理由
✅紙が厚くて丈夫だと、
・ティッシュでこすってぼかす
・消しゴムをかける
といった作業をしても、紙が
ぐちゃぐちゃにならない
✅コピー用紙のように紙が薄いと
・机の凹凸を拾ってしまう
・鉛筆と、固い机にサンドイッチ
されるので筆圧が上がりやすい
(筆圧コントロールが難しい)
✅鉄筆を使って、紙をわざと凹ます
技術が使える
■紙の厚さの目安
・リアル絵で使う場合、
厚さ:0.19mm以上
のものが良いです。
・用紙の厚さ表記は、重量で表記される
ことも多いです。
☑連量
原紙サイズ×1000枚の重さ(kg)
☑坪量
面積1平方mあたりの重さ(g/m2)
↓
この場合、目安として
連量…180kg以上
坪量…209g以上
のものを選べば、大丈夫です。
■紙を選ぶときのポイント(まとめ)
・以上の3つのポイントをまとめると
✅表面がツルツルな紙ほど…
◎ 写真みたいな絵が描ける
✖ 取り扱いが難しくなる
⇒この矛盾が紙選びを悩ませる原因
⇒極端にツルツルすぎるよりも、
適度なザラつきがある紙の方が
描きやすくてオススメ
✅なるべく厚い紙のほうが良い
ということになります。
リアル絵にオススメな紙はコレ!8種の紙の性質比較
・鉛筆画でリアルな絵(細密画)を描くことを想定して
8種の紙の性質を比較しました。

■コピー用紙
オススメ度:★☆☆☆☆
■リアル絵には向かない
・コピー用紙の網目は、ケント紙には劣る
ものの、かなりツルツルなので良さそう
なのですが、紙がうすくクッション性が
無いので
・筆圧コントロールが難しい
という性質が際立ってしまいます。
■スケッチ練習などの基礎練習で使おう
・コスト面では
「500枚で約400円(1枚 約0.8円)」
と圧倒的に安い紙なので、スケッチ練習
などの基礎練習で使いまくりましょう。

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■コクヨ製ケント紙
オススメ度:★★★★★
■リアル絵の初心者にオススメ
・初心者の方は、まだ紙の良し悪しも
あまりハッキリとわからない状態
からスタートします。
この段階では、高価な紙をケチケチ
使うよりも、程よい品質の紙で
とにかくカンガンと枚数を描くこと
が、上達への最短ルートです。
・コクヨのケント紙は、0.19mm厚で
「100枚で約1600円(1枚 約16円)」
と安価で品質もちょうど良いので、
初心者の方にオススメしています。
僕は、今でも新しく試してみたいこと
があるときは、この紙を使って練習
しています。
■上達してきたら他の紙も試そう!
・上達してくると、紙と鉛筆がこすれたとき
の、わずかな感触の違いがわかるように
なってきます。
例えば、
✅あっ、いま紙の上を鉛筆が滑ったな
✅鉛筆がちょっとひっかかったな
みたいな感触です。
そこまできてから、紙を変えてみると
驚くほどその違いを感じることができる
ようになっているハズです。
そうなったら、他の紙もいろいろ試して
自分好みの紙を探してみると良いでしょう。

■BBケント紙(生産終了)
オススメ度:★★★★★ (入手不可)
■かつて絶大な人気があった名品
・BBケント紙は、かつてアナログ絵師の間
で絶大な人気があった紙です。
・英国での製造終了にともない、2018年
に入手不可となってしまいました。
・紙の材料としてコットンが含まれており、
他のケント紙に比べると、紙の目は若干
粗かったですが、
✅程よくザラつきがある
✅描き心地が良く鉛筆がのりやすい
のが特徴でした。

■バロンケント紙
オススメ度:★★★★☆
■BBケント紙の代用として有力候補
・BBケント紙に一番近いと感じているのが
このバロンケント紙で、この紙も適度に
ざらつきがあるので、描きやすいです。
・この「ざらつき」の程度は、
「BBケント紙」と、後述する
「KMKケント紙」の中間
といった感じです。
・僕が購入したバロンケントは
「ORION バロンケント #200」
です。
ネット販売なら
世界堂オンライン
で購入できます。
■オリオン社専門紙お試しパック
・オリオン社のホームページに、
「お試しパック」
なんてものがありました。
描き心地をいろいろ試してみたい方向け
ですね。


■KMKケント紙
オススメ度:★★★☆☆
■製図向けの紙
・KMKケント紙は、もともと製図用で
消しゴムをかけても毛羽立ちにくいように
作られている紙です。
■扱いがむずかしい
・紙の表面はケント紙の中でもピカイチに
ツルツルなので、鉛筆を寝かせて塗ると、
芯が紙の上で滑って色がのりにくい感じ
が強いです。
また、紙の上にのった芯の粉も定着
しづらいので、ちょっとこすると紙を
汚してしまいやすいです。
■紙の目はいちばん細かい
・ただ、逆に言うと、紙の目はとても細かい
ので、使いこなせれば緻密な作品が描ける
と思います。

■スケッチブック
オススメ度:★☆☆☆☆
■スケッチブックはリアル絵には向かない
・スケッチブックは、
✅鉛筆の描き心地
✅水彩絵の具の吸水性
✅耐久性
を重視して作られている紙です。
そのため、スケッチブックの中で一番
紙の目が細かい「細目」でも、リアル絵
を描く用途には粗すぎて使えません。
・画用紙も同じです。


■和紙(美濃和紙など。。。)
オススメ度:?????
■手作りの温かみを感じる紙
・和紙とひとくちに言っても、
いろんな製造者の方が
いろんな製造方法を試している
ので、何百種類という紙があります。
それこそ、
【厚み】うすい紙 ~ 分厚い紙
【紙の目】粗いもの ~ 細かいもの
【色】真っ白 ~ 色付き
【繊維方向】ランダムで味のあるもの
※工場生産の紙は繊維方向が縦に並ぶ
といった感じで、手触りも違ったり、
模様も入ったり、本当に奥が深いです。
■ありきたりの紙に飽きた人向けかな?
・和紙は全般的に紙の目が粗く、リアル絵
には向かなさそうなものが多いです。
でも、中には
材料にパルプを含んだ洋紙と和紙の中間
↓
和紙の風合いを残しながら目が細かい紙
みたいなものもあったりします。
美濃に、
「和紙ナリー」
(https://washinary.jp/)
という、和紙版のワイナリーみたいな
ところがあり、一度行ってきましたが、
たくさんの種類の和紙に触れながら丁寧
に説明してもらえました。
ここまでくると、かなりマニアックな沼
にハマる可能性もありますが、興味が
ある方は、ぜひ行ってみてください。
■その他
■エスケント製 ピュアケント製図用紙
・エスケント製の製図用ケント紙です。
・僕はまだ試していないので、描き心地など
のコメントはできません。
ただ、ネット上では鉛筆画のリアル絵で
使われている方もみえたので、一応紹介
だけしておきます。
■エスケント製カラーケント紙
・下地色にこだわる作品を描ときには
試してみても良いでしょう。
例えば、 グレーの紙に作画したあと、
光沢の部分にホワイトを入れると、
光が際立つ表現ができます。
⇒どちらかというと、
モノクロ画よりカラー画の方が、
使いやすいかもしれませんね。
✅スターカラー
・色数:40色以上
・紙厚:0.17mm
・補足:ケント紙にしては厚みが薄い
その分値段はかなり安い
✅スターウェーブ
・色数:20色以上
・紙厚:0.22mm
※ネット購入の場合、
画面を通して見た色と
実際の製品の色がズレる
場合があるのでご注意ください。
(実は、僕はやらかしました。)
さいごに(まとめ)
・まとめると
✅初心者の方
… コピー用紙でスケッチ練習
… コクヨ ケント紙 でリアル絵を
描きまくる
✅初心者を卒業したら
… いろいろな紙の中から、自分好み
の紙を探すことにチャレンジ!
迷ったら、
・バロンケント紙
・ピュアケント製図用紙
あたりから少しずつ試してみればOK
・紙が変わると、絵の楽しさも驚くほど
広がります。
ぜひ、試してみて下さい!
最後まで読んでいただき
ありがとうございました
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